The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day の感想

 私が活字を読まないのは知人の中では割と有名ですが、たいそう面白かったのでいくつか。

基本的にジョジョは大好物なのですが、とくに思い入れの強い第4部のノベライズであること、店頭で現物を見て予想以上に装丁に気合が入っていた事などがあって購入、過去に読んだ幾つかのノベライズやライトノベルの内容から、あんまり期待はしていなかったところがあったが、いざ読み進んでいくと波長があったのか、魂ごと吸い込まれるようにすらすら読みきれた。過去に出たジョジョのノベライズ作品や著者である乙一の他作品は読んだことないので比較などは他のレビューサイトに譲るとして、読了直後に僕自身が感じた感想は、

・原作キャラの特徴、雰囲気を自身の文体に落とし込んでいた。
・オリジナルキャラと原作キャラの空気の差異(長じて荒木飛呂彦乙一の作家性の差異)のぶつかり、擦れ合う部分に妙な高揚感を感じた。
・スタンド同士の戦闘描写がまんま漫画本編を文章に変換したかのような明瞭さと圧倒さを孕んでいて、読むというより見るという感覚に近かった。
・つーか活字の狭間から「ゴゴゴゴゴ」という文字が見えた。
・後、ところどころにジョジョネタちりばめまくっててすごくニヤニヤした。
・オリジナルキャラにジョジョのアンチテーゼを見た気がした。(血統と運命と正義について)

といったところか。ジョジョファンなら一度以上は考える「俺スタンド」をこうも見事な形で原作と融合させたのは、単に作家としての乙一の技量だけではなく、彼の持つジョジョへの熱い思いと敬愛の念が彼のスタンドとして発現したからなのではないかと思わせるぐらいだった。また、原作では決して描かれることなかった時間を利用し、ラストでも決してその後の原作に傷跡を付けない作品の書き方は、2次創作をやっている(やろうとしている)人間が見習って然るべき姿勢のひとつであり、その作品を通したでしゃばり方と身の引き方はファンのあるべき姿のひとつなのではないかと思った。
 ジョジョを読んでてこの作品をまだ読んでない奴がいたら黙って買え、そして読め。